金物に頼らない伝統的な架構であることに加え、温熱環境の性能を出来る限り上げる 「庄和の洋蔵」
所在地: 埼玉県春日部市
主要用途:住宅 新築
敷地面積:220.06 ㎡
建築面積:95.84 ㎡
延床面積:138.81 ㎡
構造/工法: 木造伝統的構法
規模:地上2階 新築
竣工: 2009年6月
場所は埼玉県春日部市の住宅密集地です。
冬の寒さ以上に、夏の暑さは全国的にも厳しい場所のひとつです。いかにこの暑さをパッシブ(機械設備に頼らず)に凌ぐかが最大のポイントになりました。
この条件から考えた具体策として、
①置屋根 ②外断熱 ③板壁
という3つの手法に取り組みました。
まず置屋根とは、古くから土蔵などに採用されていた屋根のつくり方で、建物本体と屋根が切り離され屋根面からの熱を内部に伝えにくくする工夫の一つです。
ここでは通風と熱の伝わりにくさに期待して置屋根を採用しました。
次に外断熱は、土蔵の土と同じように建物の外側をすっぽりと覆い、夏場は外部からの熱を伝わりにくくし、同時に冬場は内部の熱を逃がさないことも期待しています。高効率の硬質ウレタンフォームを使って、薄くても性能の高い壁を目指しました。
最後に外部の仕上材で直射日光が多く当たる部分に板を張りました。木は熱容量の小さい材料です。外からの熱を伝えにくく、断熱効果も期待できます。
外部に大きな特徴を兼ね備えたこの建物ですが、内部にも温熱環境を快適に保つ工夫が施されています。
家の中心に吹抜を設け、1階と2階が大きなひとつの部屋となるようにしました。
部屋間で温度差をなくす工夫です。
また、立体的にも通風を確保できるような換気経路をつくり、部屋の風通しも考慮しています。
外観は建主さんの好みもあって、洋風の雰囲気に全体として茶系でまとめ、アイアン格子や金物をアクセントとしました。