未来の木造建築、住宅の指針となる 「原点回帰の家」
所在地:神奈川県松田町
主要用途:住宅
工事内容:新築
延床面積:147.90 ㎡
構造/工法:木造伝統構法・石場建て
施工:(有)綾部工務店とのJV
竣工:2017年11月
構造金物に一切頼らない、コンクリートを使わない昔ながらの「石場建て」の家づくりとなりました。
建主さんからは「古民家のようにこの後200年は受け継がれる家にしたい」という要望をいただきました。
本当に200年もたせるつもりなら、新建材や金物だけでなく、コンクリートや鉄筋を使うことも検討しなければなりませんでした。
上部の建物が健全であっても、コンクリートが中性化し中の鉄筋が錆びてしまっては基礎の性能は失われ、結局は解体せざるを得ない状況になるからです。
そこで出てきた案が昔ながらの工法「石場建て」です。
まずは良い地盤の敷地を選ぶところから始まり、柱の乗る位置に石を敷き固めます。その部分に上部構造(柱)が乗ることから石場建てと呼ばれるようになりました。
現在でも石場建ての古民家は各地に存在していますが、改修をしながら200年以上もっている建物も数多く残っています。
歴史が証明しているものは間違いがありません。
しかしながら、現行の建築基準法では建物は動かない事が前提になっているため、建築物を基礎や地面に固定するのが一般的です。
つまり足元を固定しない建築物は現行の法律に合致しないということになります。
そこで今回は限界耐力設計法という構造設計法を使って計算を行い、実現することができました。
刻みに半年以上、建築にも一年以上掛かっています。
長持ちさせる為には必要な時間だと思っていますが、今の社会状況からは格段に長い時間を要する建築方法になってしまいました。
我々もこのつくり方が一般解になるとは思っていませんが、日本人が培ってきた伝統的な構法は環境負荷が小さく、持続可能な建築方法として、今まさに見直されるべきだと思っています。
未来の木造建築、住宅の指針となる家づくりとなりました。